両建ての考え方
両建てとは売りと、買いのポジションを同時に持つトレード手法です。
「買い」と「売り」ポジションの差額が値動きに関わらず固定となります。
例)
下記ポジショを持っているとします。
・108円の買い
・106円の売り
【108円になった場合】
・108円の買い⇒±0
・106円の売り⇒2円の含み損
⇒
総額2円の損益
【109円になった場合】
・108円の買い⇒1円の含み益
・106円の売り⇒3円の含み損
⇒
総額2円の損
【105円になった場合】
・108円の買い⇒3円の含み益
・106円の売り⇒1円の含み損
⇒
総額2円の損
両建てによる損失の保留
持ったポジションと逆方向にトレンドが発生した場合は、損失が広がる前にロスカットによる決済を行い、
損を限定するトレード運用が一般的には知られています。
両建てによる損失の保留では、保持しているポジションと逆にトレンドが発生した際には、逆方法のポジションを持つようにします。
「買い」と「売り」ポジションの差額が値動きに関わらず固定となることを利用して
「買い」ポジション、「売り」ポジションを同時に持つことで差額分が損失として仮置きされます。
保険的な考え方です。
例)
①108円で買いポジションを持つ
②106円まで下がった際に、売りポジションを持ち2円の損を仮置きする
※以後、「買い」と「売り」のポジションを持ち両建てとなることで、どのように値動きがあろうと2円の損(仮置き)に変化はない
スワップによる必要経費
「買い」と「売り」のポジションを同時に持つので、受取のスワップと、支払いのスワップが同時に発生しますが、
一般的なFX業者では、支払いのスワップの方が金額が大きいため、全体的には支払い金額の方が大きくなります。
両建ての期間が長くなるとスワップの差額が日々マイナスになります。
ロスカットとの違い
ロスカットは損失が確定するため、資金の削減が確定します。
両建の損失の保留は、「含み益」と「含み損」があるポジションを同時にもつことで、差額が一時的な損となります。
ポジションを決済していないため損益が確定しておらず、資金の削減は確定していません。
トレンドの転換点で両建を解除することで、損を取り消すチャンスはあります。
両建ての解消方法
トレンドが反転するタイミングで今までトレンドに乗って含み益がでていたポジションを決済し、
含み損がでていたポジションで含み益がでるのを待ちます。
例)
①108円で買いポジションを持つ
②106円まで下がった際に、売りポジションを持ち2円の損を仮置きする
※以後、「買い」と「売り」のポジションを持ち両建てとなることで、どのように値動きがあろうと2円の損(仮置き)に変化はない
③下落トレンドが進み104円となった際に、過去の安値の抵抗線がありトレンドが反転するとの判断をする
・108円の買い⇒4円の含み損
・106円の売り⇒2円の含み益
④反転することを前提に、売りポジションを決済する
・108円の買い⇒4円の含み損
・106円の売り⇒決済で2円の利益確定
⑤予想通り反転して109円となる。
・108円の買い⇒1円の含み益
両建ての解消時の保険
両建てを解消した場合にも、両建ての保険を掛けるようにします。
上記例では、両建て解消後、想定通りの値動きをした例ですが、
下記例は、想定に反した場合の例となります・
例)
①108円で買いポジションを持つ
②106円まで下がった際に、売りポジションを持ち2円の損を仮置きする
※以後、「買い」と「売り」のポジションを持ち両建てとなることで、どのように値動きがあろうと2円の損(仮置き)に変化はない
③下落トレンドが進み104円となった際に、過去の安値の抵抗線がありトレンドが反転するとの判断をする
・108円の買い⇒4円の含み損
・106円の売り⇒2円の含み益
④反転することを前提に、売りポジションを決済する
・108円の買い⇒4円の含み損
・106円の売り⇒決済で2円の利益確定
⑤予想に反して更に値下し102円となる
・108円の買い⇒6円の含み損
⑥売りポジションを新たに保持する
・108円の買い⇒6円の含み損
・102円の売り⇒±0円
※以降、どのように値が動こうと6円の損(仮置き)に変化はない
両建ての是非
両建てでは損失が仮置きされますが、そのままでは損が解消するわけではありません。
ましては、スワップによる損失が少なからずあります。そのため、両建てを無意味だという方もいます。
一方で、損が確定せず、保留となっているために損を取り返すチャンスがあることが利点となります。